普段みえないけれど重要です。~卸売業の機能~
あと、今年も1週間ですね。本日は求職者支援訓練@初富教室です。朝、初富に来てびっくりしたのは外に出してあった灰皿の中がきれいに凍っていたこと。さっそく担当がtweetしていました。いやぁ、
私がこちらで講義担当するのは今年は最後。毎週お送りしているマーケティング、今年の締めくくりはマーケティングミックスの4Pのうちの3つめのP。Place(流通経路)です。
出来上がった製品は、直接メーカーから消費者に渡るケースもありますが、基本は問屋さんを通って小売店を経て、最終消費者に届きます。今日はその中で問屋さんの役割について説明してみましょう。
昔々、NHKで「価格破壊 」(原作:城山三郎)というドラマが放送されました。モデルはスーパー王中内功さん。(中内さんといえば、佐野眞一の「カリスマ」も見逃せないですね。両方とも読んだことがありますが。)
その中内さんが創業したスーパーダイエー。このダイエーで安く商品を売るために、仕入れ価格を下げなければならない。そこで中内さんが信奉した理論が「問屋無用論」。本当に簡単にいえば、中間マージンを取る問屋を省けば、それだけ安く小売店は売ることができるようになる。ダイエーはかつて実際に直売を至るところでしかけています。
本当に問屋がいることで流通コストが増し、価格が高くなり、さらにそのマージンをとっている意味もないのだとしたら、とっくにこの業態は成立しなくなっているでしょう。けれど、今もなお、問屋はしっかりと存在しています。(逆にダイエーは不良在庫を抱え、企業再生が必要なところまで追い込まれました。)
問屋=卸売業の役割とはなにか。社会全体と個別の企業にとってという二つの側面から見てましょう。
まず社会全体でいうと1、「取引総量最小化の原理」があります。世の中にはたくさんのメーカーとたくさんの小売業があります。もし、100社のメーカーと100社の小売業がワントゥーワンで取引をしたら1万通りの連絡経路が生まれ、複雑になります。もしここに1社仲介が入って、メーカー100社、小売業100社はこの仲介者に連絡をすればあとのことはその仲介者がやってくれたら。取引量は格段に減りますよね。このことをいいます。個別企業の立場だけで考えると違うこともあるだろうけれど、社会全体で見ると問屋があることによってコスト削減につながっているのです。
そして、2番目として「不確実性のプール」という機能があります。もし問屋がなかったら、メーカーは危険を覚悟で大量生産した製品を各小売店に売り歩くことになります。小売店は売れ残ったらどうしようと思いながら仕入れを行います。そこに問屋さんが入ると・・・。
もし特定の店で売れなくても売れ残りは返品を受けてあげればいい。ほかの店に回すことができるから。そう思えば、メーカーの新製品も思いきって仕入れてあげてもいいな。
不確実さを問屋が受け止めて、うまく調整役を果たしてくれるからこそ、メーカーも小売店も思い切ったことができるというわけです。
個別企業としての問屋の役割としては、小さな小売店だけではやりきれない、幅広い品揃えをしてくれるとか、売り筋情報を伝えてくれるとか、お金の支払いを肩代わりしてくれるとか(金融)、在庫を抱えてくれるとか、物流を担っていたり、卸売業発の商品開発や生産をやっていたりと様々あります。
縁の下の力持ち、問屋さんの機能も是非知っておいていただきたいと思います。