かばんの中の折りたたみ傘~診断士KOMAPPY活動メモ~

診断士としてやっていること。これからやることを。講義録とか、セミナー等のレポートも。

「長期金利の動向について」(第17回野口悠紀雄氏特別講義シリーズ)

 ばたばたの日々が続きます。夜にアポイントが入ったので、昼にも予定を入れて夕方はそれじゃついでに、とお邪魔したのが母校早稲田大学ファイナンス研究科。野口悠紀雄氏による17時~18時のミニセミナーを聴講してきました。

 

 今回のテーマは「長期金利の動向について。」日銀総裁が代わって「バズーカ砲」とまで言われた超金融緩和。通貨供給量を増やし、金利を下げ・・・って、金利はさがるはずなのに。緩和前の長期金利は0.5%だったのに、最近では1%近くまで上昇してしまっている。それも乱高下を繰り返しています。

 

 野口教授は「きっと長期の運用をしないといけない担当の方、胃が痛いでしょうね。困っていると思います。方向として上がるのか、下がるのかがわからないのだから。皆さんにも影響あるのですよ。これから住宅ローンを組もうと思っている方、金利の先行きが下がると思うのなら変動金利を選ぶし、上がるとおもったら固定金利にしておいた方がいいですよね。でもこの状況じゃ決め切れないでしょう。」それでは、どうしてこんなことになっているのでしょうか

 

 こう説明してくれました。ファイナンスの理論を使うと今回の事象が説明できますよと。(ここからは私の理解レベルになってしまいます。ご了解ください。本格的な話は後日このページに動画が上がりますので、ぜひご覧下さい。)

 フィッシャーの方程式というのがあります。

 名目金利=実質金利+期待インフレ率

 今までは期待インフレ率がデフレ下で例えばマイナス0.5%くらいで、実質金利は1%くらいで、名目が0.5%くらいだったのでしょう。で、今は日銀さんが、「物価上昇を2%を目標にする」と宣言していますので、政策の善し悪しは別として皆さんも日銀が言っているだからインフレ率は上がると期待しているのでしょう。そうしたら、右辺が上がるから、当然左辺も上がる。その一方で金利を下げると日銀は言っているのだから、日銀さんが両方の立場を取っているのと変わらない。

 ちなみに皆さんが現時点で5年後以降のインフレ率をどのようにみているのかという点はフォワードレート(n年後に1年間の運用をするとしてその際の年利)を見るとわかる。5月15日現在の野口教授の算出では(年によるばらつきがみられるので、まだ落ち着いていない状況ではありますが、)1週間前よりはフォワードレートは上昇しているが、2%には行っていない水準である。と。

 今のマクロ経済は、従来のモデルに加え、ファイナンスの道具を使うと良く見えてくると力説されていました。

 

  ファイナンス研究科としては金利の見方が中心となりますが、(私も債券インベストメントなる講義を取った記憶がかすかにあります。。。)「ファイナンス研究科では金利が大切ですが、皆さん、株価の動向の方がさらに興味があるでしょう。」と試算を示してくれました。要するに昨年10月時点の日経平均とドル・円相場を基準として、ドル・円のレートが円安ドル高になることにより、名目の日本円で企業が受け取っるであろう利益の伸びと、日経平均の変化は2月まではほぼ一緒といえる。ですので、名目の受取が多くなるということそれだけで説明することができるともいえる。ただ3月以降は現実の方が高くなり、先日達成した日経平均15,000円のレベルは、ドル円1ドル=110円くらいに値する。と。

 

 いやぁ、勉強になりました。ただ数式(ここには書いていませんが)の展開が多く、受講者の方からも「難しかった」という声が漏れていて、理解しきれなかったのは私だけではなくてよかったと、ちょっとほっとしたというのも本音です。

 

 今度は、中小企業庁の方が今年の白書の特徴について講演するセミナーを聞きにいく予定です。もし余裕があったらレポートしますので、診断士受験(特に来年、政策を突破しようと思っている方)、お楽しみに??